大学入試のための英文読解に必須の、「五文型+五修飾句・節」に基づく英文の区切り読みの方法を紹介します。
この記事は、あすか塾で教えられている英文解釈法の要点だけをまとめたものです。
実際の授業ではこの方法をさらに詳解したテキストが配布され、詳しい説明がなされます。
1. 読み方の基本
すべての英文は、基本の五文型(SVOなど)に飾り(下の文でカッコに入ったもの)がついたものである。
¶ The man was a pianist. → その人はピアニストだった。
¶ The man (in a blue shirt) [who was reading a newspaper (on the bench)] was, (in fact,) a pianist [who had been missing (for years.)]
. → その人は(青いシャツの)[新聞を読んでいた(ベンチの上で)]、 (実は)ピアニストだった[それまで行方不明だった(何年も)]。
上の二つの文型はまったく同じ(SVC)で、下の文ではたくさん飾りが付いただけ。
飾りをカッコに入れると、英文の骨組みが見抜ける。英文にカッコを記入しながら練習すると良い。
また、上の例のように、区切りに従って「左から右へ」読んでいくことが必要。「返り読み」は厳禁。
2. 英文の区切り方
SVOC以外の「飾り」(Mと表すことが多い)は形容詞と副詞の2種類のみ。
a. 形容詞と副詞
[1] 形容詞
名詞を修飾する。
¶ The white dog barked. → その白い犬はほえた。
(ただし、補語Cになっている時は飾りではなく文の要素。
¶ He is smart. → 彼は賢い。)
[2] 副詞
名詞以外(動詞、形容詞、副詞など)を修飾する(末尾に-lyがついていることが多い)。
¶ The rumor is certainly true. → そのうわさは確実に本当だ。
b. 修飾語句をカッコに入れる
修飾(形容詞と副詞)をカッコに入れると、すべての文が五文型のいずれかに還元できる。
その際、以下で述べる形容詞句・形容詞節、副詞句・副詞節といった「単語のグループが一つの飾り」となるものをカッコに入れると効果的。
c. 句と節
[1] 句
語の集まりだが、それ自身では主語+動詞という構造を持たない。
¶ The man (from New York) is reading a newspaper (in his house.) → NY出身のその男は、家で新聞を読んでいる。
[2] 節
語の集まりだが、主語+動詞の構造を持つ。部分的な文のようなもの。
¶ The man [who is from New York] is reading a newspaper (before he goes to work.) → NY出身のその男は、出勤する前に新聞を読んでいる。
d. 飾りの句・説をカッコで区切る
句・節(単語の連なり)の中で、五文型の要素(SVOC)ではなく飾り(M)の役目を果たしているものが、形容詞句・形容詞節、副詞句・副詞節である。
先ほど述べたように、これらをカッコに入れると五文型に基づいた文構造が把握できる。
補足:否定について
否定は副詞(句)だがカッコに入れず、外に出しておく。
¶ This book is not suitable (for them.) → この本は、彼らには適していない。
3. 飾りの句・節となる5種類のもの
副詞+形容詞(totally silent)や副詞の連続(very much)などを除くと、飾りの句・節となるのは次の5つ。
a. 前置詞+名詞
¶ The book (on the desk) was written (by Mark Twain) (in the 19th century.) →机の上のその本は19世紀にマーク・トウェインによって書かれた。
※ただし、be動詞の後で補語になっている時はカッコに入れない。
¶ He is in trouble (due to his laziness.) → 彼は怠惰のせいで困ったことになっている。
上のdue toやaccording toといった群前置詞も重要。
b. 分詞
[1] 形容詞句:「~している」「~された」
¶ The dog (kept by him) is cute. → 彼に飼われている犬はかわいい。
¶ Who is that girl (singing the national anthem?) → 国歌を歌っているあの女の子は誰?
[2] 副詞句(分詞構文):「~しつつ」
¶ (Having a headache,) I didn’t attend the meeting. → 頭痛がしたので、私は会議に出なかった。
¶ John Brown, (surprised at the news,) left the room. → ジョン・ブラウンは、その知らせに驚いて、部屋を出て行った。
c. 不定詞
[1] 形容詞句:「~するための・~するべき」
¶ I bought several books (to read (on the train.)) → 私は電車で読むための本を何冊か買った。
[2] 副詞句:「~するために」
¶ (To do well (in the test,)) you have to study hard. → テストでいい成績を取るためには頑張って勉強しなければならない。
[補足] 名詞句:「~すること」
主語や目的語になるので飾りではない。toの直後から波カッコ{ }でくくるとよい。
¶ It is very pleasant to {take a walk in the morning.} → 朝に散歩するのはすごく快い。(Itは仮主語で、to不定詞の名詞句を受ける。)
d. 接続詞+SV…
従位(従属)接続詞節: 副詞節なのでカッコでくくる。
¶ I was told that (if he failed the exam) he would have to leave the school. → もしその試験に通らないと彼は退学しなければならないだろうと私は教えられた。
[補足1] 等位接続詞
飾りを作るわけではないので、スラッシュ( / )で区切る。
¶ Mary wanted to marry him, / but her father didn’t agree. → メアリーは彼と結婚したかったが、彼女の父は同意しなかった。
¶ Shall we go (by taxi / or on foot?) → タクシーで行こうか、歩いて行こうか。
[補足2] 名詞節になる場合
飾りではないのでthatや疑問詞などの直後から波カッコ{ }でくくる。
¶ It is unclear whether {he shot the governor.} → 彼が知事を撃ったかどうかははっきりしない。
e. 関係詞+(S)V…
関係代名詞節・関係副詞節
直前の名詞(先行詞)を飾る形容詞節。角カッコ[ ]で囲み、丸カッコと区別をつける。
¶ That boy [who is talking to his mother] is a member (of our team.) → 母親と話しているあの少年は、私たちのチームの一員だ。
¶ The novelist [by whom the masterpiece was written] is living (in this town.) → その名作を書いた小説家はこの町に住んでいる。(前置詞+関係代名詞から飾りが始まる。)
補足:複合関係詞節
関係詞に-everのついたもの。先行詞はなく、自らが先頭になって(S)Vをともない、名詞節か副詞節になる。
¶ Whatever [we need] will be brought. → なんでも必要なものが持ってこられるだろう。(名詞節)
¶ (Wherever you are,) you have to remember this. → どこにいようとも、君はこれを覚えていなければならない。(副詞節)
補足:関係詞節内の挿入(連鎖関係詞節)
関係詞直後のSVをカッコでくくる。 ¶ That’s the student [who (I think) is the brightest (in this class.)] → あれが、私がこのクラスで一番かしこいと思う生徒です。
以上が基本的なルールに基づいた英文の区切り方です。
さらに、知っておくべき決まった語の形(構文)があります。
あすか塾英語科では、各種文法知識に加えてこれらの方法による英文の分析を用い、繰り返し各種の入試問題を演習することによって、どんな問題にも対応できる確かな読解力を養成しています。
こうした英文法に関して生徒から募集した質問とそれへの回答をまとめましたのでご覧ください。