あすか塾 高校英語 読解演習の実際

あすか塾英文読解授業の板書 ブログ
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はじめに

あすか塾高等部では、重要な文法事項の総ざらいを終えた後で、「英文区切り読み理論」に基づいた授業を行います。

下の記事だと、「高校2年生」で行うとされている部分ですね。

今回はその実際の様子を、板書の写真とともに順を追って紹介したいと思います。

「英文の区切り方」の詳細についてはそれなりの体系立った理論があるのですが、概要は以下の記事にまとめてあります。

ともあれ、今回はとりあえず授業の雰囲気だけでも感じていただければと思います。

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使用する教材

授業の前提として、生徒たちは上述の区切り読みの要点(英語は前から読むこと、主語・動詞を中心とした文型を把握すること、修飾の句・節で区切って読むこと、etc.)をすでに伝授されています。

その上で、学習すべき文法事項の散りばめられた課題文プリントを配布されています。

英文読解の授業プリント
英文読解の授業プリント

このプリントは、いろいろな問題集や入試問題を元に作成されています。
狙ったわけではないですが、古色蒼然というか説教臭い例文が多い。

ですが、そういう古めかしい文語的なところが、じっくり英文解釈に取り組むには向いているかと。

その難解さを緩和するために、少しでも難しそうな語句にはすべて注を付けてある親切設計のプリントとなっています。
細かい語彙はさておき、英文の構造に集中してほしいので。

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生徒による演習

授業が始まると、プリントの中で本日取り組むべき課題文が指示されます。
生徒の皆さんは自力でこの課題文に立ち向かいます。

先ほどの「区切り方」に従って(あるいは自己流で)ひたすら和訳していきます。
和訳は標準的な日本語翻訳である必要はなく、だいたい意味が取れていればOKとします。

翻訳のような日本語でなくてもいい理由ですが、この授業で扱うような複雑な英文をいわゆる「返り読み」で(日本語として自然になるような語順に並べかえて)読んでいくのは、過剰な労力を必要としながらほぼ無意味です。

意味内容を把握できているのに、苦労して日本語に成形する意味があるでしょうか?
受験生は翻訳家ではないのです。

従って、あすか塾では英語はできる限り「前から」読むように指導しています。
英語の語順のままで意味が取れればOK、ただし意味が取れているかの確認は日本語(できるだけ英語語順での和訳)で行う、というスタンスです。

ただ、「前から」ナチュラルに読もうと言っても、英語は日本語とはまるっきり異なる外国語。
その壁を越えた外国語解釈の方法論をたやすく自家薬籠中の物にする生徒はまれです。

なので和訳はいきおい生徒個々人の無手勝流になりがちです。
そこは仕方ない。細かい指導はしません(集団授業なのでそもそもできません)。
後の解説のプロセスで適切な区切り方・読み方を体得してもらうことに期待します。

講師による解説準備

さて、そんなこんなで生徒が英文に悪戦苦闘している間、講師は大急ぎでプリントの例文をホワイトボードに板書します。

この板書が漢文で言うところの「白文」になって、そこにいろいろ区切りや説明を書き込んで解説していくわけです。

(高性能な電子黒板とかに、即座にプリントのデータを表示できて、書き込みなどもできたらいいのですが……。よしんばあってもお高いんでしょうねえ……)

講師が本文を必死で板書

板書を終えて教室を振り返って見ると、生徒たちはほとんどまだ和訳の作業に没頭しています。

そこで生徒たちの間を巡回し、苦戦しているところにはアドヴァイスを与えて先に進むのを手伝います。

先ほど「手取り足取りの指導はしない」と言いましたが、生徒が悩んでいるところで打開策を与える助言は記憶に残るのでけっこう効果的だと思います。

解説

さて、そうやってだいたいの生徒たちが課された分の英文和訳を仕上げたら(未完成の人がいても構わずに)、解説パートに入ります。

解説では席順に生徒を当てて、一人に一文、まず英文を読み上げてもらいます。

英文を朗読してもらった後に、先ほどの板書を用いて講師が文構造の分析を行います。

当該の英文の主語・動詞(S・V)を指摘したり、「ここは前置詞+名詞で……」とか言いながらカッコを書き込んだりしていくわけですね。

で、その時の板書は(この時処理したのは第一文だけですが)以下のようになります。

まあよく見かける類の分析ですが、講師がその場で行うのと、一定の規則に従っているので区切り方が常に変わらない(気分次第とか恣意的ということがない)のが特長かと。

SVを指摘し、装飾の句・節をカッコで囲んだ状態

そこから生徒が和訳します。

ここでは「区切りを意識して、できるだけ前から読む」ことを推奨しています。

できる生徒はすらすらと日本語に直して、講師の賞賛を得ます。

でも当然、できない生徒もいる。
そこに対応できるのがこのやり方のいいところです。

先ほどの板書の状態で、すでに課題の英文が論理的に区切られています。

なので、生徒が答えに窮したら、カッコでくくられた短い部分だけを処理して先に進むことができるのです。

「ここの”television (frequently) limits communication”ってどういう意味?」とか。
(ちなみに上の板書では副詞の”frequently”をカッコにくくり損ねていました。無念。)

これならだいたい誰でも答えられます(よしんば答えられなくても単語の意味を示しながらサポート的に短い和訳を示してあげることもできます)。

また、英語が苦手な生徒にも「短いユニットを次々とこなしていったら長い文が読めていた」という体験を得てもらえます。

こうして、できる生徒には英文の構造に関する知識を固めてもらい、英語が苦手な生徒にも正しい方法論で取り組めばどんな英文も読めることを体感させられます。

このようにして生徒に答えてもらって、講師がその都度コメントしつつ、ホワイトボードに和訳を書き込んでいきます。

あとは講師による関連知識の注釈などが加わります。

そして次の生徒の番へと回り、同じように、
朗読(生徒)→文構造分析(講師)→和訳(生徒)→補足解説と修正(講師)
を1サイクルとして、どんどん進んでいきます。

ホワイトボードは最終的にこんな感じになります。

板書の最終状態

かなりぐちゃぐちゃ。

しかしこの授業での板書は、ノートに書き写す知識ではありません。
生徒と講師とのコミュニケーションを反映した、リアルタイムの分析の現場なのです。
そりゃあ字も汚くなるってもんですよね!

……ということで、よろしくお願いします。

まとめ

ともあれ、以上のようなプロセスを1ラウンドとして、日によって2、3ラウンド回していきます。

あすか塾の卒業生からは、この授業が楽しかったという声をけっこう聞きます。

講師としては、「難しい、しんどい、ウザい」と言われるのを覚悟していたのですが。
生徒たちにしてみれば、こつこつと仕事を仕上げる充実感を得られていたのかもしれません。
あるいは上達の実感を。

ここで得られる、一文一文の細部をおろそかにせず、なおかつ英語の語順に従いつつ速やかに意味を取るやり方は、大学入試全般で必要とされる「速く正確に」読む技能に直結しています。

この後に始まる怒涛の過去問演習の下準備にもなるというわけです。

以上の英文読解演習を踏まえた上での、高3の夏期講習を嚆矢とする大学入試過去問演習については、以下の記事をご覧ください。

文責:あすか塾スタッフ I.