高3英語夏期講習の狙いとその意義

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あすか塾では今年(2019年)も夏期講習の時期となりました。
甲子園校の高3英語長文は8月14日から。

ともあれ、この夏期講習の持つ意味などについてまとめてみました。

夏期講習の内容

私はもう15年以上前、あすか塾にバイトで雇われた初年度から高3の夏期講習を任されました。

後で聞くと、塾長が受け持つと思っていた生徒たちは面食らってたそうです。

その時に講習内容として指示されたのが、いわゆる「関関同立」(関西大学・関西学院大学・同志社大学・立命館大学の関西トップ4私大)の入試過去問題の演習でした。

バイトの私は、言われたことをやればいいんでしょ、くらいに思っていたので、何も考えず指示に従っていました。

塾長が手ずからWordで打ち込んだ入試問題(1年分)をコピーして生徒に前日配布。
生徒たちは午前中に4時間も5時間もかけて解答。

同志社大学法学部2009年度英語入試問題の1ページ目
こういうプリント(同志社大学法学部2009年度)

講師もせっせと予習して、午後の授業での解説に臨みました。
夜にも授業があったりして、生徒たちは半日以上英語漬けでした。

さすがに午前の予習→午後の解説は負担が大きかろうと、数年前から解答は宿題にしています。
それでも十分大変だろうと思います。

これほどガンガンできるのも、みんな引退していて部活がもうないからですね。
当塾は部活をやりながら通っている生徒が主流なのです。

さて。

時は流れ、前塾長は去りました。
現塾長は高校の授業にはノータッチ。
なので昨年度からは、私が自分の責任でカリキュラムを組むことになってしまいました。

ですが結局のところ、あいも変わらず関関同立の過去問演習を続けています。
惰性と言えば惰性です。

ですが、今年度の大学入試も、2017年から続く「私大一般入試地獄」(こちらのブログに詳しく書かれています)にもかかわらず、そこそこの結果が出ましたし、惰性でいいのかと。

案外、前塾長もしっかり考え抜いてのカリキュラムだったのかもしれません。

夏期講習の良い点
  • 英語力がつく(当たり前)
  • 進路を考える材料になる

英語力の基盤づくり

それでは、この方式のメリットはどこにあるのでしょうか。

まずは当然ながら難関大学の入試に対応できる英語力の向上です。

自習力の向上

先ほど、昔は生徒が何時間もかけて過去問に解答していたと書きました。
それは「辞書や参考書も使って、満点を取るつもりで解答するように」と指示していたからです。

「そしたらみんな満点取っちゃうのでは」とお思いでしょうか。
あにはからんや、これまでの講習会で満点を取った生徒は、ただの1人もいません。

つまり「単語の辞書的な意味が分かる」だけでは入試に通用しないんですね。

大学入試の英語は、単語を闇雲に1万語暗記して臨んだとしても、あるいはいっそのこと英和辞典をズルして持ち込めたとしても、それほど意味はないのです。

生徒たちはそのことを身をもって知ります。
最初は満点どころか半分の100点に満たないなんてこともざら。

その上で、どう知識を探っていけば正解にたどり着くかの試行錯誤を、講義で教わったノウハウも武器にして、始めていきます。

こうして、自分で調べて正答にたどり着く力、自学・自習力が得られます。
得点もほとんどの人が最低6割は取れるようになっていきます。

こうして、夏を乗り越えたあと、自分で志望校の過去問に立ち向かって力を伸ばせる下地ができるのです。

過去問演習での英文多読

3時間×14日間もある長い講習なので、読む英文の量もなかなかのものになります。

当然これも重要です。

下のデータをご覧ください。

  • 高校英語教科書(1シリーズ3年分)の平均した延べ語数:16,950語*
  • 『ハリー・ポッターと賢者の石』(原書):76,944語

*『英語コーパス研究』第15号による2006年のデータ

高校3年間の教科書だけだと、世界の子供たちが競って読む児童書の4分の1未満
圧倒的に読む量が足りません。

もちろん高校もわかっているので、いろいろと長文の副教材を生徒にやらせます。
でも見ていると、生徒に問題と解答を与えて任せきりの学校も多い。
課題として自習させて提出させるだけで、詳しい解説が足りない。

わが西宮市に限らず、公立高校はどこも時間と人員の余裕がなくて大変だとは思いますが。

当塾ではそこのところを過去問演習による、質をともなった多読で補います。

大学に入ってからも役に立ちますよ。
語学でつまずいて留年する学生は多いですからね。

ライブ感を重視した解説

繰り返しますが、学校が課す副教材の長文演習は、おそらく解説が十分ではありません。
そこはわれわれ学習塾が補っていかねばならない。

私は生徒自身に英文を訳させていく方式が好きなのですが(参加感と緊張感が生まれ、予習にも張り合いが出るので)、夏期講習のように分量が多いとさすがに無理です。

そこで夏期講習では、講師が長文を一文ずつ読み上げてはポイントを指摘しつつ解釈を説明し、さらに講師自身が設問を解きながら解説を加えるスタイルを取っています。

要するに、自分で入試問題を解いて見せて、その過程をできるだけ言語化することにより解法を会得してもらおうという狙いです。
読む分量が多い一方で、一文一文の文構造や語彙をないがしろにしないように心がけています。

私もさすがに長年やっているので、以前のような綿密な予習は必要ありません。
どんな問題でも見た瞬間に解説できるくらいにはなりました。
だからこういうライブ的なやり方ができるわけです。

とは言え過去問ですから扱ったことのある問題を解説することが大半です。
そこはなるべく初見であるかのような新鮮さを保って解説するようにしています。

得点による学力向上の可視化

生徒は解説を聞きながら答え合わせをしていくことになります。
解説が終わったら、毎回自分の解答を200点満点で採点し、点数を提出してもらいます。

立命館大学のように120点満点の場合は、仕方ないのでそのままの点数を申告。
その時でも、自分の点が200点満点でどのくらいなのかは意識してもらうようにします。

そうやって毎回得点を付けることにより、自分の進歩が具体的に見えます。
レコーディングダイエットなんかと原理は同じですね。

多くの生徒が、最初は低い点数でも、数回のうちに慣れてきて点数が向上します。
「長文何するものぞ」という心構えができてきます。

そうすると、厳しい覚悟と同時に自信を備えた、受験生らしい顔つきになってきます。
とりわけ、講師への質問が鋭くなります。

成長が実感できる瞬間です。

進路の指標としての得点データ

このように、夏期講習は生徒の学力向上に大きな効果があると思います。

それに加えて、進路相談のデータを得るという点でも役に立っています。

というのも、過去のデータからざっくり言うと

「関関同立の英語の過去問で(辞書や参考書を使って)だいたい7割以上取れれば、入試本番でも関関同立に合格する」

という傾向がかなりはっきりと出ているからです(特に文系で)。

ここで一例として、2012年度の当塾の高3英語夏期講習のデータをご覧いただきましょう。
(細かいデータに興味のない方は飛ばしてください。)

あすか塾2012年校3夏期講習の私大過去問得点表
2012年高3夏期講習得点表

上の表で1位のS間さん(平均159点)は、国立の奈良女子大学に進学しました。
併願で関関同立に複数合格もしました。

2位のS崎さんから5位のO合さんまでが平均140点(7割)以上ですが、全員が関関同立のいずれかに進学しました。

それ以下からの逆転は1人だけ。
このとき8位で平均120点ちょっとだったN田君が、その後伸びを見せて見事関西学院大学に合格しました。
こういうのも教えていて嬉しいですね。

ちなみに下の方の生徒たちは途中参加で、難関校志望ではないが「夏の終わりに長文もやらせてみよう」という感じだったと記憶しています。
志望校によっていろいろやり方がありますので。

(ちなみに、この学年には吹奏楽部が忙しいと夏期講習には不参加、それでいて大阪大学にぽんと合格したすごい人がいたんですが、まあそういうのは例外で……)

ともかく夏期講習は、生徒たちの学力をデータから見極めて、ある程度の予測と、それに基づく受験戦略を立てるのにも役立つということがご理解いただけるかと思います。

まとめ

あすか塾高等部のカリキュラムの中で、高3英語の夏期講習はかなり重要なのではないかと思っています。

やれやれやっと部活が終わった、という生徒たちを短期間で受験モードに突っ込ませて、そのまま秋・冬の勉強になだれ込ませる基盤づくりになっているからです。

実は今年はカリキュラムを見直して少し講習の日数を減らしたので、その影響が未知数なところがありますが(昔は連続20日間で、あれは多すぎたと思います)。

それでも14日。
……講師としても頑張ります。

ちなみに冬期講習も夏期講習と基本的に同じ方式で、受験本番に向けた仕上げにかかることになります。

今年もここからが勝負の時期です。
受験生の皆さんはぜひ、必死に楽しく、勉強に取り組んでいただきたいと思います。

文責 あすか塾スタッフ I.

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